アステラス健保 健保だよりNo.44
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 うつ病とは、気分の落ち込みが特徴的な心の病です。症状の出方はさまざまでいろいろなタイプのうつ病があります。「冬季うつ」とは、国際疾病分類などで、現在、「反復性うつ病性障害」と呼ばれるうつ病の中で、季節と深く関連するといわれているうつ病の一つです。 うつ病と同様、冬季うつにも「気力の低下」「疲労感」などのうつ病の症状が出ます。ただ、食欲と睡眠に関しては、一般的なうつ病とは正反対の、食欲不振ではなく過食、不眠ではなく過眠の症状が目立つのも特徴とされています。冬季うつうつ病食欲過食になり、体重が増加する場合も。特に甘いものを食べたくなる食欲不振に陥る睡眠睡眠時間が長くなる (過眠)不眠となり、睡眠時間が短くなる 冬季うつを発症する主な原因は、日照時間の短さ(日照量の減少)といわれています。現在は2つの説が挙げられており、以下の2点が有力なようです。○日照時間が短くなると光の刺激が減り、脳内の神経伝達物質(セロトニン)が減少。それが原因で脳の活動が低下してしまう。○目に入る光の量が減ることで、睡眠に深くかかわるホルモンであるメラトニンの分泌のタイミングがずれたり、分泌量が乱れ体内時計が狂う。 日常的なことを少し意識して行うだけで、冬季うつを予防・改善できるという報告もあるようです。○ 生活リズムを正す 毎日できるだけ同じ時間に起きて朝日を浴び、体内時計を正しましょう。○ 日光に当たるように心がける 早起きを習慣づけるなどして、日に当たる時間を意識的に増やしましょう。○ 食生活に気をつける 冬季うつをはじめ、うつ病の原因とされているセロトニン不足。セロトニンは、食事から摂取する必須アミノ酸の一種、トリプトファンから生成されているため、食生活でセロトニン不足を改善することができます。タンパク質…肉や魚、豆など(トリプトファンが多く含まれている)炭水化物…米やそば、芋類など(トリプトファンの吸収を手助けする)ビタミンB6…バナナやさつまいも、青魚など(トリプトファンの吸収に必須)EPA、DHA…青魚(抗うつ効果があるとされている) うつ病の治療には薬物療法、心理(精神)療法等が行われます。冬季うつの代表的な治療法は、高照度光療法です。これは、人工的に2,500(コンビニの照明)~10,000ルクス(曇天の屋外)の光を浴びることで、睡眠・覚醒リズムをつかさどっている脳内の睡眠物質であるメラトニンの分泌を調整して症状を改善させる治療法です。治療実施者の約70%の人に効果があり、1週間で効果が現れることもあります。10 寒い季節になると、「朝起きられなく遅刻が増えてしまう」「ダイエットを心がけているのに、日が短くなると5㎏以上太ってしまう」…。それは冬季うつの症状かもしれません。 今回は、日本ではあまり聞かない病名ですが、ヨーロッパではよく知られている「冬季うつ」についてお伝えします。アステラス通信冬季うつについて日常の中でできる、冬季うつへの対策冬季うつの原因冬季うつの症状冬季うつの治療法ヨーロッパは緯度の高い国が多く、冬場の日照時間が極端に短い場合が多いため、冬季うつに悩まされる人が多いといわれています。豆知識

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