アステラス健保 健保だよりNo.45
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食物繊維を上手にとって便秘解消に役立てよう! 腸内環境を整え、スムーズな排便のために欠かせない栄養素である「食物繊維」には、不溶性と水溶性があり、腸のなかで4つの働きをします。 1つは水溶性の特徴である保水性です。水を含んで便をやわらかくし、かさをふやして排便を促します。また、水溶性の一部は粘性ももっており、水に溶けるとゲル状になります。すると腸の内容物はゆっくり移動するようになり、血糖値や悪玉コレステロールの上昇が抑えられます。さらに、余分なコレステロールや、食物中の有害物質などをくっつけて便と一緒に排泄する吸着性もあります。最後は発酵性です。成分の一部が善玉菌によって分化され、有機酸や短鎖脂肪酸に変わるため、大腸内が酸性に保たれ、弱アルカリ性を好む悪玉菌が減ります。 摂取量の目標は成人で1日20gですが、実際にとっているのは14gほど。もう少し積極的にとりたいものです。また、不溶性と水溶性は、2対1の割合でとるのが理想といわれています。 水に溶けない食物繊維。便のかさをふやして排便を促す一方、水分を吸収する性質があるので、とりすぎると便が硬くなったり、腹部の膨満感が強くなり、排便がしづらくなる。不溶性食物繊維を多く含む食品●レタスやキャベツなどの多くの葉もの野菜●ごぼうなどの多くの根菜類●玄米などの精製していない穀類●あずき、大豆などの豆類●さつまいもなどのいも類●きのこ類 水に溶ける食物繊維。腸内の水分を吸収し、便をやわらかくする働きがある。また、脂肪の排出も促す。水溶性食物繊維を多く含む食品●いちご、キウイなどの熟した果物●こんにゃく、しらたき●わかめ、こんぶ、ひじきなどの海藻類●オクラ、モロヘイヤなどのネバネバした食品食物繊維豊富な健康レシピは裏表紙に!●●●●●腸の働き3●●●●●腸の働き4免疫力と大きくかかわる腸内細菌便秘が病気を引きおこす 人体には、病気にならないよう自分を守る「免疫」機能が備わっています。免疫を担う中心的な存在は血液中を流れているリンパ球ですが、その60%以上が腸にあります。 免疫力はまた、腸内環境にも左右されます。腸内には400種類、100兆個もの細菌がすんでいるといわれ、それらの細菌は腸内環境に影響を及ぼす3つのタイプに分けられます。乳酸菌、ビフィズス菌などの「善玉菌」、ウェルシュ菌などの「悪玉菌」、状況に応じて善玉になったり悪玉になったりする「日ひよりみ和見菌」です。 便通がよければ腸内細菌のバランスがよく、腸内環境が良好で、免疫力が高くなります。しかし、腸に老廃物がたまると悪玉菌がふえて腸内環境が悪化し、免疫力も低下してしまうのです。 腸に便がたまると悪玉菌がふえ、便が腐敗、発酵し、ガスが発生しやすくなります。ガスが便に放出を妨げられて体内にたまると、腹部膨ぼう満まん感や腹痛がおこります。胃を圧迫して食欲不振や吐き気、胸やけをおこすこともあります。さらに、ガスが体内に吸収されると肌荒れ、体臭、頭痛、肩こり、疲労などの原因になります。 常習的な便秘が長くつづくと、よりやっかいになります。硬い便を押し出すために強くいきむと痔になりやすく、さらに、大腸がんのリスクも高まる恐れがあります。また、花粉症などのアレルギー疾患、さらにはうつ症状の一因とも考えられています。 健康であるためには健全な腸の働きを保つことが大事。多くの便秘は食事など生活習慣で改善できます。食物繊維の4つの働きで腸内環境を整える理想的な食物繊維のバランス2不溶性 : 1水溶性7

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