アステラス健保 健保だよりNo.47
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中年期におけるストレス状況 中年期は、仕事や家庭において責任ある立場につき、それまで積み上げてきた経験をもとに、さまざまな活躍ができる、人生で最も多忙な時期です。社会から期待される役割が大きくなる一方で、それまでになかった身体の衰えを感じ始める年代でもあるため、心身に大きな負担がかかり、不調をきたすことが少なからずみられます。ストレス状況が長く続いた場合に起こるメンタル面での不調の代表が、気分の落ち込み、意欲の減退、不眠、食欲低下などを主症状とする「うつ状態」です。今回は、中年期における身体の変化、注意すべきストレス状況について解説します。中年期に入ると以下のような身体面での変化が現れてきます。●体力的な衰えが目立ち始め、無理がきかなくなる●生活習慣病(成人病)の好発期に入る●更年期症状が出現する更年期障害について女性については閉経前後に女性ホルモンのエストロゲンが急激に減少することが、さまざまな更年期障害の症状の原因と考えられています。のぼせ、汗をかきやすい、よく眠れないといった症状の他に、気分の落ち込み、不安、イライラといった心の不調も多くみられます。最近では男性も、男性ホルモンであるテストステロンの低下が原因とされるLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)が注目されており、性欲減退などとともにさまざまな症状が出現することが明らかとなってきました。疲れやすさや不眠、精神面での変化は女性の更年期症状と共通点も多いようです。その発症時期や程度には個人差があり、70代あるいは80代になって症状が顕著になるケースもあります。中年期は家庭においても職場においても責任が重くなります。●子どもが思春期を迎え、進学や就職などに関する問題が起こりやすい●両親の介護がはじまるなど、家庭内での役割が変化する●ある程度の役職が与えられ、部下を見る立場になり責任は重くなる●家庭や職場での仕事の比重が高いため、地域とのつながりが薄い中年期における精神的なバランスを失いやすい状況は、「○○症候群」として取り上げられることがあります。空の巣症候群子どもの自立後の喪失感から不安定になった親の心が、ひな鳥の巣立ち後の空の巣にたとえられています。子育てに専念してきた人ほど注意が必要といわれています。主人在宅ストレス症候群その名のとおり、夫が長い時間家にいることによって、妻にストレスが生じる状況を指します。夫の退職等によって、長年にわたって築いてきた自分なりの快適なライフスタイルが、一変することで生じることが多いようです。カサンドラ症候群アスペルガー症候群などの発達障害がある人とのコミュニケーションがうまくいかないことによって、家族や友人など、身近にいる人に心身の不調が生じることを指します。特に妻や夫といったパートナーに起こる場合が多いといわれています。サンドイッチ症候群上司と部下の間にいる中間管理職が、上司からの圧力と部下からの突き上げに挟まれて「サンドイッチ状態」になり、心身に不調をきたすことを指します。管理職症候群、マネージャー・シンドロームなどとも呼ばれています。 上記のような身体的、精神的状況が、本格的なうつ病や神経症、アルコールをはじめとした薬物依存症につながるケースもみられます。眠れない、気分が落ち込む、意欲が湧かない、イライラするといった問題が回復せず何週間も続いている場合は、専門医を受診し相談してみることをおすすめします。中年期の身体的変化4 よく「食欲の秋、スポーツの秋」といわれますが、秋は身体のリズムが変化する季節です。疲れがたまらないようしっかり休むことが大切です。 今年度の「めんたるへるす通信」では、ライフサイクルを子ども、若年、中年、老年の4つの時期に分け、それぞれの時期における主要なメンタルヘルスの問題と、気をつけておきたいポイントをお伝えしていきます。 第3回は「中年期のメンタルヘルス」についてです。アステラス通信

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