アステラス健保 健保だよりNo.50
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参考:杉山敏郎「胃がんへの分岐点」,『きょうの健康』2017年5月号,p.50,NHK出版ピロリ菌に感染すると、ほぼ100%ピロリ菌感染胃炎が起こる。放置すると萎縮性胃炎に進行し、胃がんになる危険性が高まる。ピロリ菌感染ピロリ菌感染胃炎胃・十二指腸潰瘍胃がん萎縮性胃炎まれに除菌しないと数週間〜数カ月間除菌しないと約10%ほぼ100%7 胃がんの発生については多くの研究が行われており、いくつかのリスク要因が指摘されています。なかでも、喫煙や食生活などの生活習慣や、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の持続感染などが胃がん発生のリスクを高めるといわれています。食生活については、塩分の多い食品の過剰摂取や、野菜、果物の摂取不足が発症要因として指摘されています。 日本人のピロリ菌の感染率は、中高年で高く、若年層では近年低下傾向にあります。ピロリ菌に感染した人のすべてが胃がんになるわけではありませんが、ピロリ菌感染者の約8%は、75歳までに胃がんになると推定されています。また、ピロリ菌は、だ液や吐いた物からも感染するので、現在の若い世代の人では、ピロリ菌に感染している父母や祖父母などを介して、家庭内で感染することがあると考えられます。 ピロリ菌に感染すると、数週間から数カ月後に、ほぼ100%ピロリ菌感染胃炎を起こしますが、大部分は症状が現れません。ピロリ菌感染胃炎は、除菌治療を受けないと、約10%は胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症し、ほとんどが萎縮性胃炎に進行します。 萎縮性胃炎は、症状がないことも多いのですが、人によっては胃もたれや胃の痛みが起こることがあり、少しの量の食事でおなかが張ってくることもあります。萎縮性胃炎は「前がん状態」と呼ばれ、胃がんの発症リスクがとても高い状態です。気になる症状がある場合は医療機関にご相談ください。また、5ページでご案内している「ファミリー電話健康相談」も、ぜひご活用ください。ピロリ菌に感染した際の症状症状は、胃の痛み・胃もたれ…検査をしなければわからないピロリ菌感染から胃がんの発症の経過胃がん予防には「減塩」と「禁煙」、「野菜や果物」 国内外のさまざまな研究から、ピロリ菌に荒らされた胃粘膜をさらに傷つける要因のひとつに「塩」があることがわかってきました。食事全体の塩分量を減らし、タラコやイクラなど高濃度の塩で保存している食品を食べる回数を減らしましょう。 また、さまざまな研究結果から、喫煙も胃がんを起こしやすくする原因とされていますので、禁煙をしましょう。 一方、野菜や果物をとると、胃の炎症を抑え、胃がんの発生率を下げると考えられています。積極的にこれらをとるように心がけましょう。胃がんの原因胃がんの一番多い原因はピロリ菌感染

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