アステラス健保 健保だよりNo.52
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前立腺がんと前立腺肥大症の違い前立腺がん前立腺肥大症発生部位主に前立腺の辺縁領域前立腺の移行領域病理像悪性腫瘍(がん)良 性発生因子ホルモンとの関連あ りあ り年齢高齢高齢環境因子食生活、生活様式などが関係する。人種、国などにより発生率に差がある。食生活や生活様式とのかかわりは、がんほど強くない。高血圧、糖尿病、メタボリックシンドローム患者さんに多い傾向がある。症 状初 期:無症状、排尿障害、膀胱刺激症状進行期:血尿、腰痛初 期:排尿障害、膀胱刺激症状、排尿困難進行期:残尿、尿閉転 移す るしない病後の経過人によりさまざまよ い5 前立腺がんは早期に発見すれば治癒することが可能であり、多くの場合、比較的ゆっくり進行します。かなり進行した場合でも適切に対処すれば、長く通常の生活を続けることが可能です。 早期の前立腺がんは、自覚症状がない場合が多く、同時に発生した前立腺肥大症による排尿の障害(尿が出にくい、排尿の回数が多いなど)や下腹部の不快感などがみられることがあります。進行すると、排尿の症状に加えて、骨への転移による「背中や腰の痛み」「脚のしびれ」などの症状が現れやすく、これらの症状によって初めて前立腺がんが発見される場合もあります。 前立腺がんのリスクを高める要因として、「血縁者に前立腺がんがあること」、「年齢が高いこと」などが明らかにされています。そのほかにも、食生活の欧米化により肉や乳製品などの脂肪の摂取が増えていること、喫煙などが関係していると考えられています。 前立腺がんが疑われると、まず血液検査によるPSA検査を行って前立腺がんの疑いがあるかどうかをふるい分けます。前立腺がんになると、血液中の前立腺特異抗原(PSA)という物質が増加するので、このPSAの値が早期発見の必須の検査項目になっています。 PSAが高値の場合は、前立腺生検を行い、前立腺がんが確定すると、がんの広がりを調べるため、CT、MRI、骨シンチグラムなどの検査が行われます。 前立腺がんと前立腺肥大症は、加齢とともに増加する男性の病気という点では共通していますが、発生する場所も性質も異なる病気です。前立腺がんは悪性の腫瘍で、進行すると前立腺の外に広がって他の臓器に転移しますが、前立腺肥大症は良性の腫瘍で外に広がったり転移はしません。しかし、どちらも高齢者の病気なので、両方が同時に発生することもあります。 前立腺肥大症は頻尿、排尿困難、残尿感などの症状がみられるのが特徴です。これに対して前立腺がんは、初期の段階ではほとんど自覚症状がみられませんが、がんが大きくなると、前立腺肥大症と同じような症状が出現します。さらに前立腺がんが進行して骨に転移すると、腰痛や歩行困難などを来します。高齢化、食習慣の欧米化などで増加傾向早期発見にはPSA検査が有効前立腺肥大症との違い忍び寄る前立腺がん初期には自覚症状がほとんどない

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